【No888】2024年以降のNISA制度について

 昨年末に発表された税制改正大綱の内容のうち、今回は2024年以降のNISA制度の拡充内容についてご紹介します。

1.NISA制度とは

 通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。

 NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。

 イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。

2.現行のNISA制度

 現行のNISA制度は、18歳以上の人が利用できる一般NISA、つみたてNISAと17歳以下の人が利用できるジュニアNISAの3種類があります。

3.2024年以降のNISA制度

 令和2年度税制改正で予定されていたNISA制度について、令和5年度税制改正にて改めて見直しが行われ、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。

【改正のポイント】

① 現行の制度では3種類があり、18歳以上の人が利用できる一般NISAとつみたてNISAは併用することはできませんでしたが、2024年以降のNISA制度では一本化され、つみたて投資枠・成長投資枠の併用が可能となりました。

② 非課税保有限度額については、両枠合わせて1,800万円で簿価残高方式が採用されることになり、投資した商品を売却すれば、その商品の簿価が減少し、再度その減少分の商品を購入することが可能になります。

③ 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISAにおいて投資した商品は、新しいNISA制度へロールオーバーできませんが、新しいNISA制度とは別枠で、現行制度における非課税措置が適用されることとなります。

4.まとめ

 政府が目指す「貯蓄から投資へ」の考え方をもとに、2024年以降のNISA制度が拡充されることとなりました。非課税保有限度額も現行よりも大幅に増加し、NISA口座内で購入した商品を売却すれば、その商品の簿価分の非課税保有限度額を再度利用することが可能になり、従来の制度より大きな資産形成ができる仕組みとなっています。

(文責:税理士法人FP総合研究所)