【No879】令和4年の基準地価について
令和4年9月21日に国土交通省より令和4年の基準地価が発表されました。基準地価とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、基準地の毎年7月1日時点の地価について不動産鑑定士の評価を踏まえて都道府県知事が正常価格の判定をし、国土交通省が9月中頃に発表するものです。令和4年の調査対象の基準値数は、宅地が21,010地点、林地が434地点で全国の計21,444地点となっています。
(なお、東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示区域内の12地点(宅地11地点、林地1地点)及び令和2年7月豪雨により甚大な被害を受けた熊本県においては宅地1地点で調査を休止しています。)
1.変動率
令和2年から令和4年の基準地価を前年と比較した変動率は下記のとおりです。
2.調査結果の概要
全国平均の地価は、全用途平均が3年ぶりに上昇に転じました。用途別では、住宅地は31年ぶりに上昇に転じ、商業地は3年ぶりに上昇に転じました。
国土交通省は上記傾向となった要因が、住宅地については「都市中心部や生活利便性に優れた住宅地では、住宅需要は堅調であり、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、地価の上昇が継続している」「生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化等により、郊外部にも上昇範囲が拡大している」とし、商業地については「個人消費の持ち直しの動きから店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なマンション用地需要やオフィス需要等から、全国平均で上昇へ転じた」と分析しています。
三大都市圏では、全用途平均は2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。住宅地は横ばいから上昇に転じました。商業地は10年連続の上昇となりまして、上昇率が拡大しました。
3.全国における商業地の上昇率トップ10
全国の商業地の上昇率上位10位のうち9地点を北海道が占める結果となり、都道府県別における商業地上昇順位でも北海道が第1位となりました。
4.地価の動向
経済活動の正常化が進む中で、新型コロナウイルス感染症の影響等により下落局面にあった住宅、店舗等の需要は回復傾向にあります。とはいえ、比較的需要が堅調であった各地域の優良な住宅地やオフィス需要が中心となる商業地が含まれる割合が高いことから、今後も動向への注視が必要といえます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)