【No872】スマートフォン等による確定申告がさらに便利になります
令和4年4月1日以後の相続税申告に係る添付書類について光ディスク等による提出が可能になるなど、国税庁では、デジタルガバメントの実現に向けた政府全体の方針に基づき、オンライン(e-Tax)の利用を推進しています。新型コロナウイルスの感染リスクを軽減させるためにも、非対面で税務手続を行えるようe-Taxの利用範囲はさらに広がるものと推察されます。今回は、新たにサービス開始が予定されている電子手続の内容をご紹介します。
1.スマートフォン・タブレット端末(スマートフォン等)によるe-Taxの利用がさらに便利に!
① マイナンバーカードの読み取り回数が減少します。
以前までマイナンバーカードを利用して確定申告する際には、マイナンバーカードの読み取りを3回行う必要があり、手続が煩雑となっていました。しかし、令和5年1月からは過去にマイナンバーカード方式で申告された方を対象に、e-Taxへのログイン時の1回のみの読み取りで申告することが可能になります。
② 青色申告決算書・収支内訳書の作成がスマートフォン等からでも可能になります。
スマートフォン等では作成できなかった青色申告決算書・収支内訳書が令和5年1月から作成可能になります。これまでスマートフォン等で確定申告を行える人は事業所得や不動産所得がない人に限定されていましたが、それらの作成が必要な個人事業主もスマートフォン等で電子申告を利用することができるようになります。
③ マイナポータル連携の自動入力対象が拡大されます。
令和5年1月以降からはマイナポータル連携の自動入力対象が拡大されます。医療費については、令和3年分の確定申告では令和3年9月から12月分のみが自動入力の対象でしたが、令和4年分からは1年間を通した医療費通知情報が自動入力の対象となるため、より手軽にスマートフォン等で確定申告ができるようになります。ただし、自動入力の対象となる医療費は保険診療分のみとなるため、自由診療分について医療費控除に含めたい場合には別途入力する必要があるため注意が必要です。
※マイナポータル連携の自動入力を利用するためには、事前設定が必要となります。
2.スマートフォン等を利用した納税証明書の請求がさらに便利に!
従来まではスマートフォン等で納税証明書の交付手続を行った場合、税務署の窓口に行き、書面で証明書を受け取る必要がありました。しかし、令和4年9月20日からは、マイナンバーカードとマイナポータルアプリを活用し、電子ファイル(XML形式又はPDF形式)による電子納税証明書の交付請求、郵送による書面の納税証明書の交付請求が可能になります。これにより、税務署窓口に行くことなく非対面で、納税証明書の請求から受け取りまでを行うことができるようになりました。
3.今後の流れ
新型コロナウイルス感染症の流行もあり、税務署の窓口に行かずに手続が可能なe-Taxは今後さらに利用が推進されるものと思われます。マイナポータル連携の自動入力の対象も順次拡大予定で、給与所得の源泉徴収票やiDeCo、小規模企業共済等掛金が追加される予定です。世界的にデジタル化が遅れているとされる我が国ですが、近年の環境変化に対応するよう今後さらに税務手続も電子化していくことが予想されます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)