【No839】令和4年 公示価格発表

 令和4年3月23日に国土交通省より令和4年地価公示が発表されました。地価公示とは、地価公示法に基づき毎年1月1日時点の地価(「正常な価格」)を、住宅地・宅地見込地・商業地・準工業地・工業地・市街化調整区域内宅地などの地域に分け、不動産鑑定士等が評価し国土交通省が3月末頃に公表するものであり、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取引価格の算定等の規準とすることを目的に行われています。令和4年の標準地の設定数は、市街化区域20,557点、市街化調整区域1,379地点、その他の都市計画区域4,044地点、都市計画区域外の公示区域20地点の計26,000地点となっています。

<令和4年公示価格の動向>

 令和3年から令和4年の公示価格を前年と比較した変動率は以下のとおりです。

 都道府県地価調査との共通地点における半年ごとの地価変動率の推移は以下のとおりです。

【全国平均】

 全国平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年ぶりに上昇となりました。その他、工業地については6年連続の上昇であり、上昇率が拡大しています。

 令和3年については、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向がみられました。

 なお、この1年の地価動向を都道府県地価調査との共通地点における半年ごとの地価変動率で見ると、前半(R3.1.1~R3.7.1)は、経済活動は持ち直しの動きが広がり、取引が回復したことにより、住宅地、商業地は、大阪圏及び地方圏その他の商業地を除き、横ばい又は若干の上昇となっており、後半(R3.7.1~R4.1.1)についても、経済活動の持ち直しの動きが継続され、住宅地、商業地ともにすべての圏域において地価は横ばい又は上昇となっています。ただし、共通地点は比較的需要が堅調であった各地域の優良な住宅地やオフィス需要が中心となる商業地が含まれる割合が高いことに留意する必要があります。

【三大都市圏平均】

 三大都市圏平均でみると、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年ぶりに上昇となりました。その他、工業地については8年連続の上昇であり、上昇率が拡大しています。

 住宅地については、三大都市圏すべてで2年ぶりに上昇に転じることとなりました。

 また、商業地については、東京圏及び名古屋圏で2年ぶりに上昇に転じ、大阪圏では横ばいに転じることとなりました。

【地方圏平均】

 地方圏平均をみると、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年ぶりに上昇となりました。その他、工業地については5年連続の上昇であり、上昇率が拡大しています。

 地方圏のうち地方四市(札市、仙台市、広島市、福岡市)では全ての用途で上昇が継続し9年連続の上昇であり、上昇率についても拡大しています。

 地方四市を除くその他の地域においては、住宅地及び商業地が2年連続の下落となりますが、下落率については縮小しています。その他、工業地については4年連続の上昇であり、上昇率についても拡大しています。

【概括と今後の展望】

 令和4年の地価公示は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和されたことにより全体的に地価が横ばい又は僅かながら上昇していることが確認できます。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が解消されたとはいえない状況ではあるため、今後のコロナ情勢の変化により地価にも影響が及ぶ可能性が考えられます。地価公示は、相続税や固定資産税等の評価額に広く影響を及ぼすことから、今後も継続して動向を注視する必要がありそうです。 

(文責:税理士法人FP総合研究所)

お問い合わせはこちら