【No796】生命保険契約照会制度の創設について
超高齢社会の進展が続く中、高齢者が独居のまま死亡する場合や認知症患者の増加等、本人・ご家族等が本人に関する生命保険契約を把握しきれない事案がますます増加していくことが想定されることから、生命保険協会により、『生命保険契約照会制度』が創設されました(令和3年7月1日開始)。今回は、この制度の内容についてご説明します。
(1)制度の特徴
東日本大震災(平成23年11月)の発生以降、「災害地域生保契約照会制度」が設けられ、災害地域における確実・迅速な支払いのための業界横断のセーフティネットとして活用されてきましたが、今回創設された『生命保険契約照会制度』は、災害時に限らず平時においても活用することでき、また、平時においては死亡だけでなく、認知判断能力が低下しているケースも制度利用の対象とされています。生命保険協会専用のWebから、インターネットを利用した照会、調査結果を確認することができ、回答内容は、原則、生命保険各社における契約の有無のみ確認することが可能です。
【生命保険協会HPより引用】
(2)制度の詳細
※任意代理人の範囲は、弁護士、司法書士その他照会対象者の財産管理を適切に行うために、照会対象者にかかる生命保険契約の有無を照会するにふさわしいと生命保険協会が認めた者
当該制度を活用することにより、相続税の申告実務においては財産の申告漏れ防止につながり、適正申告を担保することが可能となります。また、被相続人が加入していた生命保険が発見されないまま時効で取得できなくなる場合もあり、これらを防止するために加入していた生命保険を検索する方法として有用であると考えられます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)