【No782】令和3年分の路線価が発表されました
令和3年7月1日に国税庁より令和3年分の路線価が公表されました。各地区の路線価の詳細等は、国税庁のホームページで閲覧することができます。現在ホームページには、平成27年から令和3年までの7年分が掲載されています。
(国税庁の路線価の閲覧ページ:http://www.rosenka.nta.go.jp/)
(1)路線価とは
路線価とは、土地の価格がおおむね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1㎡当たりの価額をいいます。相続税や贈与税の申告のための財産評価を行う際の便宜及び課税の公平を図る観点から、毎年国税庁より公表されています。
毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%を目処に評価されます。
(2)令和3年分路線価の動向
路線価の全国平均は、前年と比べて0.5%下落し、新型コロナウイルスの影響で観光地や繁華街などがマイナスに転じ、6年ぶりに前年を下回りました。
令和3年分の都道府県庁所在都市の最高路線価が発表され、上昇した都市は8都市で(前年38都市)、下落したのは22都市(前年1都市)と前年に比べて大幅に増えました。
また、都道府県庁所在都市の最高路線価が全国で最も高かったのは今年も東京都中央区銀座の鳩居堂前で、36年連続1位となっていますが、前年を7.0%下回り、12年以来9年ぶりに下落しました。
<令和3年分の都道府県庁所在都市の最高路線価 一部抜粋> (1㎡当たり)
(3)東日本大震災により被災した地域の路線価等について
東日本大震災により被災した地域についても原則として路線価等が定められています。
ただし、令和3年1月1日現在において、原子力発電所の事故に関する「帰還困難区域」、「居住制限区域」及び「避難指示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難であるため、令和元年分と同様に、相続税、贈与税の申告に当たり、その価額を「0」として差し支えないこととされました。
(4)今後の動向について
これまではインバウンドの増加や都市部での都市開発等により、路線価は上昇が続いていましたが、観光地でのインバウンドの縮小や度重なる緊急事態宣言やまん延防止措置の発令による飲食店への営業時間の短縮要請等により、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く反映された路線価となりました。令和2年分の路線価について、大阪市中央区の繁華街であるミナミエリアについては、地域ごとに減額補正を行っており、令和3年分も大幅に下落すれば同様に修正を検討するようです。
新型コロナウィルス感染症の影響で国民の生活環境も大きく変化し、大都市から地方への移住も一般的に行われるようになりました。連日ワクチン接種の状況や新薬の開発や承認の報道がなされ、今年は東京オリンピックやパラリンピックが、2025年には大阪万博も開催される予定で、ホテルの建設や都市開発も引き続き行われています。来年以降も経済状況等がどうなるのか、動向に注意が必要です。
(文責:税理士法人FP総合研究所)