【No716】令和2年分の路線価が発表されました

  令和2年7 月1 日に国税庁より令和2年分の路線価が公表されました。各地区の路線価の詳細等は、国税庁のホームページで 閲覧することができます。現在ホームページには、平成26 年から令和2 年までの7 年分が掲載されています。 (国税庁の路線価の閲覧ページ:http://www.rosenka.nta.go.jp/

1 路線価とは

  路線価とは、土地の価格がおおむね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1 ㎡当たりの価額をいいま す。相続税や贈与税の申告のための財産評価を行う際の便宜及び課税の公平を図る観点から、毎年国税庁より公表されていま す。

毎年1 月1 日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基と して算定した価格の80%を目処に評価されます。

2 令和2 年分路線価の動向

  路線価の全国平均は、前年と比べて1.6%上昇し、4 年連続での上昇となります。 令和2 年分の都道府県庁所在都市の最高路線価が発表され、上昇したのは38 都市(前年33 都市)、下落したのは水戸市の み(前年1 都市)、横ばいは8都市(前年13 都市)となりました。

また、都道府県庁所在都市の最高路線価が全国で最も高かったのは今年も東京都中央区銀座の鳩居堂前で、35 年連続1 位と なっています。

3 東日本大震災により被災した地域の路線価等について

  東日本大震災により被災した地域についても原則として路線価等が定められています。 ただし、令和2 年1 月1 日現在において、原子力発電所の事故に関する「帰還困難区域」、「居住制限区域」及び「避難指 示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難であるため、令和元年分 と同様に、相続税、贈与税の申告に当たり、その価額を「0」として差し支えないこととされました。

4 今後の動向について

  インバウンドの増加や都市部での都市開発等により、昨年に引き続き路線価は上昇となりました。新型コロナウィルスの発生 がなければ、東京五輪の開催や更なるインバウンドの増加等により、来年の路線価の上昇を予想することは容易いことであった でしょう。今回発表された路線価には、新型コロナウィルスの影響は反映されていません。 そこで、国税庁は、新型コロナウィルスによる経済低迷等の影響で、地価が大幅に下落し路線価が地価を上回った場合などに は、地価調査等を踏まえ、10 月以降に対象とする地域を決めた上で、路線価の減額や申告期限の延長等を定めることを検討し ています。これまで大規模災害の被災地域について調整率などを適用する措置を講じたことがあっても、経済を理由に補正率の 適用を定める等の対応をしたことはありません。路線価は相続税や贈与税の財産評価上必要なものであり、大きく影響を及ぼす ことから、今後の動向に注視する必要があります。

(担当:本岡聖子)