【No698】平成30年分の国外財産調書の提出状況について
令和元年分の所得税の確定申告について、e-Taxによる電子申告は既に利用可能でしたが、本日より窓口等での書面提出も可能となり、確定申告本番の時期に差し掛かって参りました。一定の国外財産を保有する方については、平成25年分から始まった『国外財産調書制度』により、国外財産調書を提出することとなりますが、国税庁は、このほど、平成30年分の国外財産調書について、令和元年6月末までに提出されたものを集計した総提出件数等を公表しました。
(1)国外財産調書制度の概要
近年、国外財産を保有される方が増加し、国外財産に係る課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、その年の12月31日において5,000万円を超える財産を国外に保有する居住者は、翌年3月15日までに財産の種類、数量及び価額などの事項を記載した「国外財産調書」を税務署長に提出しなければならないとされています。(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律5①)
(2)平成30年分の国外財産調書の提出状況
国外財産調書の提出制度は平成26年1月から施行されているもの(初回は平成25年分の調書)ですが、前年と対比した①総提出件数、②総財産額、③財産の種類別総額の推移は、次表のとおりであり、年々増加傾向を示しています。
① 総提出件数
平成30年分 | ||||
件数 | 構成比 | 対前年比 | ||
総提出件数 | 9,961 |
100.0% |
104.3% |
|
内訳 | 東京局 | 6,413 |
64.4% |
104.2% |
名古屋局 | 719 |
7.2% |
102.9% |
|
大阪局 | 1,405 |
14.1% |
105.6% |
|
その他 | 1,424 |
14.3% |
104.2% |
平成29年分 | ||||
件数 | 構成比 | 対前年比 | ||
総提出件数 | 9,551 |
100.0% |
104.9% |
|
内訳 | 東京局 | 6,154 |
64.4% |
103.9% |
名古屋局 | 699 |
7.3% |
105.9% |
|
大阪局 | 1,331 |
13.9% |
105.6% |
|
その他 | 1,367 |
14.3% |
108.5% |
②総財産額
平成30年分 | ||||
財産額 | 構成比 | 対前年比 | ||
総財産額 |
3兆8,965億円 |
100.0% |
106.3% |
|
内訳 | 東京局 |
2兆8,458億円 |
73.0% |
103.5% |
名古屋局 |
2,190億円 |
5.6% |
115.0% |
|
大阪局 |
5,282億円 |
13.6% |
123.6% |
|
その他 |
3,034億円 |
7.8% |
101.3% |
平成29年分 | ||||
財産額 | 構成比 | 対前年比 | ||
総財産額 |
3兆6,662億円 |
100.0% |
111.0% |
|
内訳 | 東京局 |
2兆7,485億円 |
75.0% |
111.7% |
名古屋局 |
1,906億円 |
5.2% |
109.9% |
|
大阪局 |
4,274億円 |
11.7% |
108.0% |
|
その他 |
2,996億円 |
8.2% |
110.0% |
③財産の種類別総額
平成30年分 | ||||
財産額 | 構成比 | 対前年比 | ||
総財産額 |
3兆8,965億円 |
100.0% |
106.3% |
|
内訳 | 有価証券 |
2兆1,135億円 |
54.2% |
109.8% |
預貯金 |
5,771億円 |
14.8% |
93.0% |
|
建物 |
4,360億円 |
11.2% |
108.0% |
|
貸付金 |
1,880億円 |
4.8% |
110.3% |
|
土地 |
1,557億円 |
4.0% |
107.5% |
|
上記以外 |
4,261億円 |
10.9% |
106.2% |
平成29年分 | ||||
財産額 | 構成比 | 対前年比 | ||
総財産額 |
3兆6,662億円 |
100.0% |
111.0% |
|
内訳 | 有価証券 |
1兆9,252億円 |
52.5% |
112.6% |
預貯金 |
6,204億円 |
16.9% |
103.1% |
|
建物 |
4,038億円 |
11.0% |
116.2% |
|
貸付金 |
1,705億円 |
4.7% |
99.8% |
|
土地 |
1,449億円 |
4.0% |
117.0% |
|
上記以外 |
4,014億円 |
10.9% |
115.1% |
※ 四捨五入の関係により、総資産額と局別の財産額の合計額及び財産の種類別の合計額は一致しません。また、同様に財産の種類別の構成比の合計は100%になりません。国税庁では、当該制度の周知に努めていくほか、提出見込み者や記載に不備がある者に文書照会等を実施するなどの取り組みを継続することを公表しており、国外財産調書が自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、適正な提出を確保するために『加算税の軽減措置』や『加算税の軽減措置』『罰則の適用』の特例措置等が設けられています。国外に財産を保有されている方は、自身について、国外財産調書の提出が必要であるかを一度ご確認ください。
(担当:東端 桂司)